認知症の相続人がいる場合の相続手続はどう進めるべき?

相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議等の相続手続を進めることができるのでしょうか。

以下では、認知症の相続人がいる場合の相続手続の進め方について解説します。

認知症の相続人がいる場合遺産分割ができないことがある

一般に、認知症の程度が進んだ人が、遺産分割協議における合意等の法律行為をしようとする場合、自己の行為にどういう意味があるのかを認識・判断する能力(意思能力)がないと評価され、遺産分割協議が無効とされてしまうことがあります。

しばしば「認知症の相続人がいる場合遺産分割ができない」という説明がなされることがありますが、必ずしもそうではありません。

認知症の方であっても、その進行の程度は人によって区々であり、意思能力があるとされる場合も、無いとされる場合もあります。

その意思能力の有無の判断に画一的な基準があるわけではないため、はっきりしない場合は、弁護士等の専門家の意見を求めた方が間違いがないといえます。

意思能力がないまたは不十分な認知症の相続人がいるときは後見人等を決める

意思能力がないまたは不十分な認知症の相続人がいる場合には、成年後見制度を利用し、家庭裁判所に後見人等を選任してもらうことで遺産分割協議や相続放棄等の遺産分割を進めることができます。

なお、いったん後見人等が選任されると、原則として、認知症の相続人の方が亡くなるまで、後見人等は解任されません。そして、弁護士、司法書士等が後見人等に選任された場合、1ヶ月当たり数万円の報酬を後見人等に支払う必要があります。また、後見人が選任された場合等は、後見人等が、認知症の相続人の方の預金通帳等の財産を管理することとなります。後見人等の選任を申し立てるに当たっては、これらのことに留意する必要があります。

後見人等選任の申立てから遺産分割までの流れ

後見人等選任の申立ては、被後見人等(認知症の相続人)の居所を管轄する家庭裁判所に対してします。

この申立てから後見人等の選任までは、通常2~3ヶ月程度かかります。

多くの場合、後見人等には弁護士や司法書士が選任されます。

そして、選任された後見人等が、認知症の相続人のために遺産分割協議に参加します。

まとめ

このように、認知症の相続人がいる場合は、認知症の程度によって相続手続を進めることができる場合とそうでない場合があるため、弁護士等の専門家に相談されることをおすすめします。

相続については、横谷法律特許事務所までお気軽にご相談ください。