自筆証書遺言作成のポイント

形式面、内容面のそれぞれについて、述べます。

まず、形式面ですが、自筆証書遺言では、形式に不備があった場合、遺言自体が無効になってしまいます。
そのため、民法の定める形式をしっかりと守って遺言を作成し、遺言が無効とならないように注意しましょう。

■ 全文を自書する
自筆証書遺言では、遺言の全文、日付及び氏名を自書する必要があります。
ただし、自筆証書遺言と一体のものとして同遺言に添付する財産目録は、自書せずにパソコン等によって作成することが認められます。そのようにして財産目録を作成する場合、その財産目録の1枚ごとに(両面に自書しない記載がある場合は、その両面に)署名、押印しなければなりません。

■ 作成日を記載する
自筆証書遺言には作成日を明確に記載する必要があります。
例えば、日付が「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された遺言(いわゆる吉日遺言)が、日付の記載を欠くものとして無効とされた裁判例(最高裁昭和54年5月31日判決・民集33-4-445)がありますので、注意しましょう。

■ 署名押印
自筆証書遺言には署名押印をする必要があります。
印鑑は認印でも問題ないですが実印の方が良いでしょう。

■訂正の方式に注意する
自筆証書遺言を訂正する場合、訂正箇所に二重線を引き、その近くに押印する必要があります。
そして横書きの場合であれば二重線の上、縦書きであれば二重線の右側に、訂正後の文言を記載するようにしましょう。
さらに、遺言の末尾などに、どの箇所をどのように訂正したかを付記して署名する必要があります。
具体的には、「本遺言書第〇条の×行目の「△△△」とあるのを「□□□」と訂正した。」といったように記載します。

次に、内容面ですが、遺言の内容は、人それぞれ様々ですので、ここでは、最低限の注意事項について述べます。

■ 財産を特定する
相続財産は、それぞれどの財産のことかがわかるように、特定しなければなりません。
例えば、土地、家屋等の不動産については、登記簿謄本の記載通りに、記載しましょう。

■ 遺留分に注意する
一般に、人は、自らの財産を自由に処分する権利を有します。したがって、遺言する人は、遺言でその全ての財産を、どのように処分しても許されるはずです。しかしながら、遺族(相続人)の生活保護等の見地から、被相続人(遺言者)の処分の自由と相続人の保護との調和のために、相続財産の一定割合を一定の範囲の相続人に留保するという制度が設けられました。これが遺留分の制度です。一定の相続人に留保される、相続財産の一定割合を、「遺留分」といいます。
遺留分は、相続人が誰かによって、割合が異なります。例えば、相続人が配偶者と子二人の場合、遺留分は、配偶者が4分の1、子がそれぞれ8分の1となります。
遺言により、遺留分の割合の相続財産を得ることができなくなった相続人は、遺言によって財産を得た者に対して、遺留分を侵害された額に相当する金銭の支払を求めることができます。
したがって、このような紛争が生じることを回避するために、遺言では、各相続人の遺留分を侵害しないように配慮することが望ましいといえます。

■ 遺言の作成は専門家にご相談ください
自筆証書遺言を作成したい場合には専門家に一度ご相談されることをお勧めいたします。

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