相続における特別寄与料
この度の相続法の改正(「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」[平成30年法律第72号])で、「特別寄与料」の制度が新たに設けられました。
1 これまでの寄与分の制度
これまでは、亡くなった人の生前、その子など、亡くなった人の相続人がその人の身の回りの世話などをしていた場合、そのようにして亡くなった人に対して貢献(寄与)していたことが、その人の相続の際に考慮されました。つまり、亡くなった人の身の回りの世話などをしたことを金銭的に評価して(「寄与分」といいます)、その寄与分を、身の回りの世話などをしていた相続人の相続分に上乗せしていました(民法904条の2)。しかしながら、亡くなった人の身の回りの世話などを、その人の相続人ではない人がしていた場合、そのことが、亡くなった人の相続の際に考慮されることは、原則としてありませんでした。例えば、亡くなった人の長男の妻が、亡くなった人の身の回りの世話などをしていても、その人の相続の際に、長男の妻の貢献が考慮されることは、原則としてありませんでした。
2 特別寄与料の新設
このようなことが不公平と考えられたことから、改正された相続法では、亡くなった人の相続人ではない「親族」が、無償で亡くなった人の身の回りの世話をするなどして、その人に対して「特別の寄与」をした場合、そのような「特別の寄与」をした人(「特別寄与者」といいます)は、亡くなった人の相続人に対して、「特別寄与料」を請求できることになりました(民法1050条)。
特別寄与料の額は、まず、特別寄与者と亡くなった人の相続人とが協議して決めることとされ、協議しても決まらない場合、または協議することができない場合は、特別寄与者は、家庭裁判所に対して、特別寄与料の額の決定を求めることができることとされました。このような手続をする家庭裁判所は、亡くなった人が住んでいた場所を管轄する家庭裁判所となります(家事事件手続法216条の2)。
3 手続についての期間制限
なお、特別寄与者が、家庭裁判所に対してこのような手続をとることについては、期間制限が設けられていることに注意が必要です。すなわち、特別寄与者は、被相続人が亡くなったこととその相続人を知った時から6ヶ月以内、かつ、被相続人が亡くなった時から1年以内に、家庭裁判所で上記の手続をとる必要があります。
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