医療過誤について弁護士に相談するメリット
医療過誤に対する損害賠償請求が認められるためには、⑴病院側に「過失」があることと、⑵病院側の過失と患者に後遺症が残った、あるいは患者が死亡したという結果との間に「因果関係」があることが、必要です。
ここで、医療過誤の場合の「過失」とは、病院側が患者に対して、医学的な知見(「医療水準」ともいいます)に反した医療を行うこと(医療水準によれば行うべき医療を行わない場合も含みます)をいいます。また、医療過誤の場合の「因果関係」は、「病院側の『過失』がなければ、患者に後遺障害が残るなどの『結果』が生じていなかった」といえるときに、認められます。
「病院がした医療がおかしい」と考えられることは、しばしばあります。しかし、医療過誤として病院に対する損害賠償請求が認められるためには、「医療水準によれば、○○すべきだったのに、病院がそれをしなかった」ということを言う必要があります(「過失」の要件)。
さらに難しいのは、「因果関係の要件」です。損害賠償請求が認められるためには、「病院が医療水準に従った医療をしていれば、このような結果(後遺症、死亡などの結果)になっていなかった」ということが言えなければなりません。このような「因果関係の要件」が認められるためには、そのときの患者の状態を前提として、医学に関する統計などに基づいて、「病院が医療水準に従った医療をしていれば、このような結果になっていなかった」ことを言う必要があります。
医療過誤に関する紛争では、このように「過失の要件」や「因果関係の要件」について、それらの要件が満たされるかどうか整理して考える必要があります。医療過誤の紛争について弁護士に相談することは、病院側に対する損害賠償請求が認められるための「過失の要件」や「因果関係の要件」について整理できるという点で、メリットがあるといえます。
なお、医療過誤に関する紛争は、病院側に対して損害賠償請求の訴訟を起こさなければ決着しないことが、ほとんどです。また、医療過誤に関する損害賠償請求訴訟は、通常の訴訟よりも決着までに時間を要することが一般です。このようなことから、医療過誤の紛争については、できれば複数の弁護士に会って話を聞いた上で、ご自分にあった弁護士に依頼することも、大切です。