相手方が任意保険等未加入だった場合

交通事故によるケガの治療費や車の修理費は、基本的に相手方の加入する保険会社に請求することになります。しかし、相手方が任意加入保険(任意保険)に加入していない場合もありえます。このような場合にどうすればよいのでしょうか。

原則として、自動車運転者は自賠責保険に強制加入されます。この保険は自動車損害賠償法(自賠法)という法律に基づくもので、加入していない自動車運転者には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられています(自賠法86条の3第1項)。このような強い罰則が科せられていることを考えると、まず自動車運転者の中で、自賠責保険に加入していない人はいないわけです。
そうなれば、相手方が任意保険に加入していなくても自賠責保険会社に請求すればよいと思えるかもしれません。しかし、自賠責保険と任意加入保険では請求できる内容に違いがあります。

簡単に言うと、自賠責保険が人的損害に対する補償のみに留まるのに対し、任意加入保険は基本的に人的損害に加え、物的損害に対する補償も含まれます。また、人的損害に対する補償についても保険金額は異なり、自賠責保険では任意加入保険に比べて補償額が少なくなります。これは、自賠責保険が最低限の補償を行う保険であるからです。

このように、相手方が任意加入保険に加入していない場合、相手方に損害賠償請求する以外に、以下のようにして、損害の補償(賠償)を受けることが、考えられます。

まず、自らが加入している自動車保険や労災・健康保険を利用することです。特に人身傷害保険(特約)に加入している場合は、契約に基づき一定額の治療費・慰謝料を受け取ることができます。
ご自身が勤務中に事故にあわれたのであれば、労災保険が適用されます。
また、相手方が勤務中に起こした事故であれば、相手方の勤務先会社に損害賠償請求することも考えられます(使用者責任)。

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