車対車の交通事故でしたが、相手方は、任意保険に加入しておらず、また、支払能力も乏しいようでした。このため、相手方の損害賠償責任が認められても、実際に損害賠償金が支払われるかどうか不安でした。
相手方が通勤途中に起こした交通事故だったため、相手方の勤務先会社に対しても、使用者責任に基づいて損害賠償請求の裁判を提起しました。その結果、勤務先会社の損害賠償責任も認められ、同会社から賠償金の支払を受けることができました。
交通事故の相手方が任意保険に加入しておらず、また、支払能力も乏しい場合、相手方の損害賠償責任が裁判などで認められたとしても、実際に損害賠償金を支払ってもらうまでが大変です。
本件は、相手方が通勤途中で起こした交通事故で、しかも、相手方は、その車を勤務先会社の業務にも使用していたことから、勤務先会社の損害賠償責任(使用者責任)が認められました。その結果、同会社から賠償金の支払を受けることができました。
裁判で勤務先会社は、交通事故が発生した地点は、相手方の通常の通勤ルートから外れており、相手方は、私用で通勤ルートから外れた時に交通事故を起こしているから、会社は使用者責任を負わないと主張しました。
実際に、相手方の自宅から勤務先会社に通勤するルートとしては、交通事故発生地点を通るルートとそうでないルートの2通りが考えられましたが、私は、地元のタクシー会社に問い合わせることにより、本件事故発生地点を通るルートの方が、一般的な通勤ルートであることを立証しました。
なお、通勤途中に交通事故を起こした場合、本件のように、その車を勤務先会社の業務に使用しているとか、地理的な状況などから車でなければ通勤できないなどの事情がなければ、勤務先会社の使用者責任が認められることは難しいことに、注意が必要です。