入院中の患者さんが、病院内の事故により死亡しました。当初、病院は、死亡の経緯について事実と異なる説明を、家族にしました。
家族が病院に対して損害賠償を求める訴訟を提起したところ、判決で、病院の説明義務違反が認められました。一般に医療機関は、患者に死亡などの悪い結果が生じた場合、その経緯や原因について、患者本人やその家族に対して適切に説明をすべき義務があるとされます(大阪高裁平成25年12月11日判決・判例時報2213号43頁など)。
この事案では、裁判で病院は、事実と異なる説明はしていないと主張しましたが、多数の病院関係者を証人尋問することで、病院の主張に矛盾があることが明らかになりました。ただ判決では、説明義務違反は認められたものの、患者さんが病院内の事故で亡くなったことについての病院の過失は、残念ながら認められませんでした。